スマートハウスの工場版がスマート工場です。この次世代型の工場にはFEMSを中心とした様々なエネルギー設備が設置されています。なお、工場を英語訳にした「スマートファクトリー」という表記もありますが、当ページでは横文字が多く登場することから、読みやすさを考慮して「スマート工場」の表記で統一しています。

特徴・仕組み

スマート工場の仕組み
(イラスト出典:日立

いきなり大きなイラストをご紹介させていただきました。小さな文字がたくさん記載されていますが、それだけスマート工場には様々なエネルギー設備があるということをお分かりいただけるのではないかと思います。

右上では発電や蓄電などといった電力需給に関連した設備の解説がされていて、右下は生産設備とエネルギー設備の連携に関する内容となっていますが、スマート工場において何よりも重要となってくるのが中央左に位置しているFEMSです。冒頭でも触れている通り、このFEMSがスマート工場の頭脳とも言える存在です。

FEMSそのものについては「BEMSとFEMSの仕組み」というページで詳しく解説していますので、こちらでは軽く触れる程度にしておきたいと思いますが、FEMSとは工場のエネルギー管理システムのことを意味します。ちなみにBEMSは同様にビルのシステムのことを指します。

FEMSが導入されている工場では、発電装置と蓄電装置と省エネ装置の連携ができ、連携することによって従来型の工場では実現不可能だった様々なことが可能となっています。具体的なメリットとデメリットを次の項目でご紹介します。

メリット・利点

それでは早速スマート工場のメリットをご紹介したいと思います。スマートハウススマートビルと重複する点も多いため、簡単に箇条書きでまとめました。

  • 工場の稼働状況に応じてエネルギーの最適化ができる
  • ものの製造過程で発生する熱も有効活用することができる
  • ピークシフト(デマンドレスポンスへの対応)が可能である
  • 比較的規模の大きなエネルギー設備を設置することができる
  • 工場は消費エネルギー量が大きいため、省エネの効果も大きい
  • 蓄電池や風力発電や太陽光発電など、多様な電源を確保できる

デメリット・問題点

今度は逆にデメリットや問題点をご紹介します。こちらも先のメリットの項目と同じように箇条書きでいくつかの項目をピックアップしてみました。

  • 設備を購入する際に大きな出費が必要となる
  • 従業員の教育が必要(FEMSや各設備の操作方法など)
  • 複数のエネルギー設備を導入する場合、設備ごとに異なるメンテナンスが必要

事例紹介

FEMSや各エネルギー設備の実用化からあまり時間が経っていないこともあり、スマート工場の事例数はかなり限られています。以下の2つの企業のホームページにて導入事例が公開されていました。