バイオマス発電は自然エネルギーであるため、他の発電方法と比較するとデメリットや問題点は少ないのですが、それでもゼロという訳ではありません。

これからより普及していくことを考えると、デメリットや問題点や危険性などを把握しておくことは大切です。ぜひ何かの参考にして頂ければと思います。

完全に二酸化炭素を増加させないわけではない

まず最初にご紹介するデメリットはカーボンニュートラルに関する点です。

バイオマス発電のメリットのページでも二酸化炭素に関して触れていますが、バイオマスそのものが吸収して排出する二酸化炭素の量が同じでも、バイオマスを収集運搬するための車両が排出する二酸化炭素などのことを考えると、二酸化炭素が全く増加しないとは言えません。

単純に燃料として燃やすという視点から見ればニュートラルであるものの、そこに至るまでの運搬作業などを考えると完全にプラスマイナス0であるとは言えないのです。

バイオマスの運搬や収集にコストがかかる

発電所建設のためのコストはもちろんですが、意外とコストがかかることの1つにバイオマスの収集作業が挙げられます。

バイオマスはどこか一ヶ所に集中しているわけではなく、広く分散していることが多いため、自動車等で広い範囲を移動する必要があります。

移動範囲が広がれば広がるほどコストが高くなりますので、より効率的な収集作業を検討しなければなりません。

また、集めたバイオマスの管理や加工に関してもコストが発生します。

耕地を作るために森林伐採が進む可能性がある

バイオマス発電の燃料として作物を育てようとする場合、現在食用の作物を育てている耕地とは別に、新しい耕地を確保する必要があるというケースも考えられます。

そのために今ある森林を伐採して、新たな耕地を作るという事業者が出てこないとは限りません。自然エネルギーを利用するために自然を破壊するという本末転倒な事態は避ける必要があります。

一般市場に出回る作物の価格が高騰する可能性がある

先のデメリットにも関係する点ですが、バイオマス燃料としての価値が食用としての価値を上回ってしまう場合、食用よりも燃料用の作物を優先して育てるということが一斉に起きる可能性があります。

こうなってしまうと、食用の作物の市場流通量が減少するため、作物の価格が上昇し、消費者にとっては家計の負担が増大することに繋がります。

事故の危険性は0ではない

発電の仕組みそのものは火力発電と同じですので、危険性に関しても火力発電と同様です。

これまでバイオマス発電所では大きな事故は起きていませんが、火力発電所では爆発や炎上などといった事故が起きたことがあります。

ただ、非常に希で、原子力発電のように広範囲に被害を与えるような事故は、火力発電所でもこれまで起きていません。

バイオマス発電に反対する意見

結局コストがかかりすぎる

バイオマス発電は家畜の廃棄物や植物などを原料にした燃料を使って発電することです。これはCO2が植物によって循環されるため、結果排出されるCO2が等しくなるという考え方から環境にやさしいという意味で注目されているようです。

しかし、この植物を育てる段階で石油などの燃料を使ってしまうと、結局排出されるCO2が上回ってしまうという問題があります。

もうひとつ問題なのは植物を耕作する土地の問題です。十分な燃料を生産するためには、広大な土地が必要になります。それを確保するために山や熱帯雨林などを切り開いてしまっては何の意味もありません。

もっと言えば、食物にもできるトウモロコシやサトウキビなどを使っていては、食糧問題にも結びつきかねません。

最後はやはりコスト面でしょうか。燃料を生産することからはじめるのですから、発電コストはかなりのもので、とても採算の合うようなものとは言いがたいです。

以上のことからバイオマス発電はまだ問題点が多く、導入は時期尚早と言わざるを得ないと思います。

別の自然エネルギーに力を入れるべき

経済的観点からバイオマス発電に反対します。バイオマス発電は単純に採算が取れないからです。日本政府は2002年に国家プロジェクトとしてバイオマスの利用を促進しました。結果はどんなものだったでしょうか。

総務省行政評価局の評価によると、データが取れたバイオマス発電のうち、7割が赤字でした。そのうち4割に至っては、バイオマス原料すら充分に調達する事ができなかったそうです。

政策評価的には「期待された効果は皆無」。この言葉がバイオマス発電の現状を端的に表しているのではないでしょうか。言い方はあれですが、要するに、壮大な税金の無駄遣いだったのです。

バイオマスの致命的な欠点として、燃焼させる為のエネルギー量が圧倒的に少ない事があげられます。

重油なら1キロあたり1万キロカロリーの発熱量がありますが、バイオマス(木質ペレット)の場合、その半分以下。わずか4,000キロカロリーの発熱しかありません。

重油なら1キロで済む所を、同じ熱量を得るためにはバイオマス2.5キロ必要になります。これでは採算が取れる筈もありません。

バイオマス発電を推進すると、電気代はより高騰し、国内産業の国外への脱出はさらに加速してしまうのではないでしょうか。同じ自然エネルギーなら太陽光発電や風力発電に力を入れてほしいです。

伸びるように思えない

バイオマス発電は、生物由来の再生可能な物質を使って発電するため、環境に優しいイメージがあります。しかし、その量が限られている以上、主要な発電として使うことができません。

このために、小規模な発電所しか作れなくて、補助的なエネルギー源にしかなりません。2017年度では総発電量の1.5%しかなく、腹の足しにもならないのです。環境を大切にしている人が趣味で行う領域から脱していません。

コスト的にも採算が取れていません。どれだけ研究が進んでいても、コスト高が続いています。発電所を建設しても、発電に使う材料にも困るところが出ています。

そのため、バイオマス発電をどれだけ頑張っていっても、伸びるように思えません。より現実的な発電方法に力を注いだ方がいいです。

小規模レベルにとどまる

基本的に廃棄素材を利用するといっても、大規模にしようとすれば必然的にコストがかかりやすい構造になっているのが問題であります。廃棄物を集めるのにも、かなりの量を必要としますので、集めるだけでもコストが大きいです。

また、自然にやさしいとは言われますが、バイオマスの燃料を作るために森林伐採をして農地を作ったりすれば、CO2を吸収するものを減らすことになってしまい、かえってよろしくないような意見があります。

食糧を生産する土地を燃料用のものを生産してしまったりもすれば、食糧戦争も起こったりもする可能性があります。

発電効率もそこまで大きくないという面からも、あまり代替エネルギーとしては有用性はなく、小規模レベルにとどまるくらいにしかならないでしょう。

日々の食事に悪影響をおよぼす可能性

バイオマス発電はコストがかなりかかります。発電所建設にはもちろんのことですが、設備自体も高額になります。

発電時に排出される二酸化炭素自体は極めて少ないので(カーボンニュートラルのため)、クリーンな発電と考えがちですが、その発電所を作るまでにも多量のCO2がでてしまうのです。

また、バイオマス発電の資源は木材や生ごみ、動物の糞等と我々が普段捨てているものを再利用しているのでエコといえばエコなのですが、エネルギーをさらに多く生産しようとするあまり、バイオマス発電に使う為だけのトウモロコシなどの食料を生産するということが起きてしまう可能性があります。

これは私たちの日々の食事に影響をもたらしかねません。こういった点をトータルしてバイオマス発電には反対です。

メインとしては無理

私は効率の悪さからバイオマス発電には反対の意見です。正確に言えば、バイオマス発電自体に反対しているのではなく、「バイオマス発電をエネルギーのメイン発生源にしよう」という意見に反対です。

バイオマス発電を推進している人たちは本当に調査したうえで言っているのでしょうか?それとも、ただ現在のエネルギー政策に対する批判として言っているのでしょうか?

おそらく後者の部分が大きいのではないでしょうか?それはただの政策批判の道具にしかすぎません。

バイオマス発電は原子力発電や火力発電と比べれば自然にやさしいエネルギーかと思います。しかしおそらく、バイオマス発電だけですべての、またはメインとして地球上のエネルギーをまかなう事は今の時点では不可能でしょう。

間伐材や不要になって他に使い道がないものだけを資源として使い、他の方法に対するサテライトという位置づけとして、その他の環境によくない発電方法を少しでも減らしていくべきだ、という観点から利用するのであれば賛成できると考えています。

二酸化炭素を増やす

木質チップを直接燃焼して発電するのであれば、反対です。

燃焼させることで、樹木が成長過程でせっかく吸収した二酸化炭素を再び大気中に放出することになり、また発電施設の建設から運転、廃止までのライフサイクルで考えれば、木質チップの直接燃焼では結局のところ大気中の二酸化炭素を増やす結果となります。

近年は二酸化炭素を吸着して貯蔵する技術や、再生可能エネルギーを使って二酸化炭素を分解する技術の開発も進められていて、このような技術が確立、進歩していくと思われます。

現時点では、石炭などの化石燃料を燃やして発電するよりはいいのだろうが、技術の発展などのブレークスルーにより、将来的には経済的にも、また地球温暖化防止の観点からも、他の発電方式の方が優位になると思います。

燃料の安定確保が非常に困難

日本では、現在242万kW容量の発電設備が認定されています(資源エネルギー庁のデータ)。ただ、このほとんどが石炭等他の燃料も使用した混合型の設備となっています。

その理由は、「バイオマス資源を安定的に入手できない」という問題点にあります。バイオマス資源は家庭から出る一般ゴミの他、廃油や木材の木くず等が原料となります。

ゴミの廃棄という点では効果がありますが、これらが常に一定量確保されるということは非常に困難です。

また、これらの資源を直接燃焼させエネルギーを取り出す場合、燃焼のための燃料が必要になります。エネルギーコストとしてはあまり効果が望めません。

バイオマス資源を発酵させる場合でも、その保管場所、発酵させるための熱源などの問題も生じます。そのため、バイオマスの使用がエネルギー問題を解決するわけではない、ということを理解する必要があります。

効率性がとても悪い

バイオマス発電は地球にやさしい発電として注目はされていますが、材料の運搬や乾燥などに手間とコストが大きくかかるにも関わらず、それほど大きなエネルギーとならないので、効率性がとても悪いです。

また、私たちが必要としている資源を使うということも反対です。動物の糞尿などはたくさんありますが、材木は有限であり、私たちの生活でもとても必要な資源です。

トウモロコシがよくバイオマス資源として考えられますが、今後食糧難が襲ってくるかもしれないといわれるほど、人口は増えていきます。その中で貴重な食料を使うのはどうかと思います。

私たちが生きていく中での優先順位を考えると、バイオマス発電をするべきではないと考えます。