電力供給や地球温暖化問題への意識の高まりとともにスマートハウスへの注目が高まっていますが、同様にスマートビルやスマート工場への注目も高まりつつあります。

スマートビルにはBEMSが、スマート工場にはFEMSが、それぞれ欠かせない存在となっていますが、これらはいったい何なのでしょうか。

BEMSの仕組み

BEMSの仕組み
(イラスト出典:東芝

BEMSはBuilding Energy Management Systemを省略した言葉で、ベムスと読みます。日本語に直すと「ビル用エネルギー管理システム」となります。

ビル全体のエネルギー使用量の削減やエネルギー関連設備の制御を目的として導入されるシステムで、省エネをしながらもビル内の人々が快適に過ごせるようになります。

  • 電力使用量や水道使用量やガス使用量の見える化
  • 照明や空調やエネルギー設備などの制御

以上の2点がBEMSの重要な役割です。これらの役割を果たすことによって前述の目的を達成することができます。

それでは、次にBEMSの構成を見てみましょう。次の3つの要素から構成されていて、そのすべてを総称してBEMSと言います。

BAS

Building Automation Systemを省略した言葉で、日本語では「ビル設備集中監視制御システム」と訳されることが多いです。ビル内の各設備の制御と監視を行うためのシステムで、BASと各設備はネットワークで繋がれています。

EMS

Energy Management Systemを省略した言葉です。BEMSからBuildingを抜いただけの言葉ですが、BASから得たデータを分析して、ビル内のエネルギーの最適化を図るシステムのことを意味します。

センサー類

ビル内には人感センサーや温度センサーや照度センサーなどといった各種センサーが設置されています。これらのセンサーがエネルギーに関連した情報の収集を行います。収集したデータはBASとEMSで活用されます。

FEMSの仕組み

FEMSの仕組み
(イラスト出典:日立産機システム

FEMSはFactory Energy Management Systemを省略した言葉で、フェムスと読みます。日本語に直すと「工場用エネルギー管理システム」となります。

役割や目的や構成は前述のBEMSとほとんど変わりませんので、詳細は省略させていただきます。上のイラストをご覧いただければ概要は把握していただけるのではないかと思います。

BEMSとFEMSの違い

両システムの最大の違いはシステムの規模です。

ビルに導入できるエネルギー設備には太陽光発電や蓄電池やコージェネレーションシステムなどが挙げられますが、工場なら屋外の敷地も使えることが多いため、風力発電やメガソーラーなども導入可能です。

また、同じ設備でも容量や出力の規模も異なってきます。

このようにFEMSの方がシステムの規模が大きくなる傾向にあるのですが、それと関連して大きな違いとなってくるのがコストです。導入する設備の規模が大きくなったり、種類が増えたりすると、もちろんコストも高くなります。

そのため、一般的にはBEMSよりもFEMSの方が導入時にかかる初期費用は高額になりがちです。