建物全体のエネルギー最適化を図ることができる次世代型のビルのことをスマートビルディングと言います。略してスマートビルと表記されることも多いですので、ここから先はスマートビルの表記で統一しています。省エネ効果によるコストカットが期待でき、今後はスマートビルも数も増加していくと予測されています。

特徴・仕組み

スマートビルディングの仕組み
(イラスト出典:スマートシティプロジェクト

スマートビルの特徴はBEMS(ベムス)と呼ばれるエネルギー管理システムが導入されているという点です。上のイラストの通り、スマートビルには省エネ設備だけではなく創エネ設備や蓄エネ設備も導入されていることが多いのですが、BEMSを通じてこれらすべての設備の管理を行うことができます。

スマートハウスにHEMSが欠かせないのと同じで、スマートビルにはBEMSが欠かせません。BEMSで各設備の状況を把握しコントロールすることで、エネルギー最適化を行うことができるのです。なお、BEMSの詳細は「BEMSとFEMSの仕組み」を、HEMSに関しては「HEMSの特徴とメリットデメリット」をご参照ください。

メリット・利点

スマートビルを新規に建設したり、既存の従来型ビルをスマートビル化したりすることには大きなメリットがあります。以下に代表的なものをご紹介します。

省エネができる

BEMSをはじめとした様々なエネルギー設備が導入されているスマートビルは、従来型のビルと比べると数十パーセントの節電が可能となります。もちろんビルの大きさや導入する設備の規模などによって数値は異なりますが、年間のエネルギー使用料金を大幅にカットできることは間違いありません。

非常時に電力を使える

蓄電システムや太陽光発電システムやコージェネレーションシステムを導入している場合、事故や天災などによる広域な停電が発生したとしても、蓄えられている電力を使うことができるほか、自家発電も可能であるため、非常時にも役立ちます。

デマンドレスポンスに対応できる

電力需要の大きな時間帯の消費電力を抑えるための仕組みのことをデマンドレスポンスと言いますが、スマートビルなら前述の創エネ設備や蓄エネ設備を活用することで、電力需要のピーク時の消費電力量を削減することが可能です。

デメリット・問題点

先にスマートビルの大きなメリットを3点ご紹介させていただきましたが、今度はデメリットのご紹介となります。導入費用に関する点が最大の課題となっています。

初期費用が高い

単純にBEMSだけを導入するのであれば、さほど高額な出費にはなりませんが、それではスマートビルの特徴をほとんど活かすことができません。活かすためにはやはり創エネ設備や蓄エネ設備が必要となります。

既に登場していますが、具体的には蓄電システムや太陽光発電システムやコージェネレーションシステムがその代表例です。ただ、どちらのシステムも規模が大きくなればなるほど高額になり、導入における金銭的なハードルが高くなります。

知名度が低い

スマートビルの最大の課題はコストに関する点ですが、小さな問題点として考えられるのが知名度です。ハウスメーカーのPR活動によってスマートハウスは割と知られるようになりましたが、それに比べて一般消費者向けの商品ではないスマートビルは贔屓目に見ても広く知られているとは言い難いです。

事例紹介

スマートビルの数はあまり多くありませんので、導入事例として公開されている件数も同様に多くはありませんが、実例を公開している企業のホームページがいくつかありましたので、以下に箇条書きでご紹介させていただきます。