スマートフォンやスマートハウスなどといった「スマート○○」という言葉がここ数年で広く一般に知られるようになりましたが、今はあまり知られていないものの、これから知名度がぐんと伸びそうな言葉があります。それがスマートメーターです。

スマートメーターは、これまで使用されてきた従来型電力量計の新しい形です。デジタルで電力量を計測するという仕組みで、測定の正確性も消費者の利便性も高まります。

なお「電子メーター」や「電子式メーター」と表記されることもありますが、当サイトではすべてのページにおいて「スマートメーター」の表記で統一しています。

特徴・仕組み

スマートメーターの仕組み
(イラスト出典:野村総合研究所

スマートメーターとはデジタル版の次世代型電力量計のことです。電力量計は電力メーターとも言われますが、スマートメーターと区別するために以下「電力量計」の表記で統一します。以下の本文中で「電力量計」という言葉が登場した場合は、従来型の電力量計を意味しているとお考えください。

スマートメーターの最大の特徴は「通信機能がついている」という点です。電力量計と最も大きく異なる点とも言えます。通信機能を使えば電力使用量を電力会社等に直接伝えることができ、わざわざ人が目で数値をチェックする必要もなくなります。

また、順番が前後してしまいますが、電力使用量の計測もデジタルで行うことが可能なため、現在の電力量計のように機器の中に円盤が入っているということはありません。外観もよりスマートに見えます。

メリット・利点

電力量計をスマートメーターに交換することで生じるメリットをご紹介します。色々なメリットがありますが、特に重要な点をいくつかピックアップしてみました。

ピークシフトに対応できる

夏場は暑さの厳しさから、冬場は寒さの厳しさから、地域によっては節電を要請されるほど電力需給が圧迫されることがありますが、万が一の際には電力会社側で一時的に地域単位や建物単位で電力供給をコントロールすることによって、大規模な停電を避けることができるようになります。

電力会社の人件費削減が可能となる

現在は電力使用量を確認するための検針員が各家庭やオフィスなどを一軒一軒回っていますが、スマートメーターなら前述の通り通信機能で電力会社へ通知することができるため、検針作業そのものが必要ではなくなります。

契約や解約の煩わしい手続きが簡略化される

こちらは確実というわけではありませんが、通信機能を使うことで新規契約時の配線の接続や解約時の切断などが不要となると考えられますので、現状よりも少ない時間で手続きが完了すると思われます。

デメリット・問題点

次にデメリットです。スマートメーターへ交換することにデメリットはあまり無いように感じられますが、まったくゼロという訳ではありません。

雇用減少の問題

メリットの項目で触れていますが、スマートメーター導入後は検針作業が必要ではなくなるため、その分の雇用が無くなると考えられます。検針員に社内の他の業務を与えるのであれば問題はありませんが、単純に人件費削減のために人員整理を行うとすれば、失業率の向上にもつながってしまいます。

通信セキュリティの問題

スマートメーターで測定したデータを電力会社等へ送信する際のセキュリティに関する課題です。データは個人情報を含んでいることもありますので、ハッキングやウイルスなどによって情報漏洩しないようにしっかりと対策をする必要があります。

測定が正確すぎることによる問題

電力量計は経年劣化によって実際の電力使用量よりも小さな数値がでやすいとされていますが、スマートメーターはデジタル式で測定が非常に正確です。そのため、スマートメーターに交換した直後から電力使用量が大きくなる(電気料金が高くなる)可能性があります。

もちろんこちらの点に関しては厳密には問題ではないのですが、毎月支払う電気料金が高くなってしまうことによる家計への影響は小さくありません。